バイク用インカムでアマチュア無線する

 自動二輪車(バイク)用インカム(小生のはFODSPORTS社製のM1-S Pro)でアマチュア無線することを実現できそうな「TWAYRDIOケンウッドトランシーバー用ヘッドセット マイク付イヤホンドングルとPTTスイッチ」という製品をアマゾンで見つけました。

 

小生の手元には、アマチュア無線のハンディ機が3台(YAESU VX-3、WOUXUN KG-UV3D、NKT R3)ありますが、アマゾンの商品サイトにある対応機種一覧表(下記に抜粋)を見ますと該当する機種がひとつもありませんが、MIC/SP端子の仕様に互換性があるかも、という期待のもとに WOUXUN KG-UV3D を使って実験してみることにしました。

 

ちなみに、下記のリストには掲載されていませんが、この製品の箱の中に同梱されていたA4サイズの両面一枚ペラの日本語説明書の中に、BAOFENG社製のハンディ無線機のMIC/SP端子の仕様もOKみたいな情報もありました。また、このブログの最後の方にVX-3で使えるようにする変換ケーブルを自作しましたので記しておきます。

KENWOOD
TH-F6/F6A/D7/D7A/D7AG/D7E/F7/F7E/G71/G71A
TH-G71E/K2/K2A/K2E/K2ET/21/21AT/21BT/22
TH-22A/22AT/22E/25/26/27/28/31AT/31BT/41AT/41BT
TH-205/-215/225/235/235A/235E/315/41
TK-370/ 370G/372G/373G/320/340/340D/348/350
TK-2100/ 2160/3100/3101/3102/3107
TK-3118/3130/3160 etc

LINTON
LT-2288/3288/6288/5288/3188/3260/2268/3268,/6288/6188/3288A

PUXING
PX333/888/888K/328/358/999/666/777/777PLUS

WOUXUN
KG-UVD1/UVDIP KG-669/659/679/689/639/699/801

QUANSHENG
TG-K4AT/2AT/22AT/45AT/42AT/25AT

HYT
TC-286/386/2685/3865/6685/278/378/388/2100/2088

RETEVIS
H-777/RT7/RT21/RT22/RT-5R/RT-5RV/RT-6S

 

YAESU
VX-3/FT-70D ←このブログの最後の方で紹介する変換ケーブルが必要

 

 

 

 

 

GSX250Rでツーリングするときには、インカムとスマホ(iPhone SE第1世代品)をBluetoothでペアリングしてYahooカーナビを利用しています。ちなみにGoogleのナビは音声の頭が無音になるため利用不可能なのです。以前はパナソニック社製のカーナビ(ゴリラ)を使っていたのですが、携帯電話通信網の使える圏内の場合はスマホのナビ機能の方が便利なのでそうしていますが、林道など人が住んでいないような地域へ行くときには、携帯電話通信網が圏外でも道案内してくれる専用カーナビ(パナソニックのゴリラ)を使うことにしています。

 

TWAYRDIOケンウッドトランシーバー用ヘッドセット マイク付イヤホンドングルとPTTスイッチ」という製品は、トランシーバーのMIC/SP及びPTTをBluetoothでインタフェースしてくれるようなのでインカムのBluetooth接続に追加することができそうです。アマゾンの商品説明及びクチコミがとても少ないのですが、できそうな雰囲気が感じられました。おそらく相性問題等もあるかもしれませんので、実際に試してみるしかなさそうでした。

 

実験構想

実験で確認する項目は主に下記の2点です。どちらもクリアできればやりたかったことが実現できるはずです。

 

1

トランシーバーのMIC/SPジャックの仕様とTWAYRDIOから出ているプラグの仕様

 

2

スマホ(iPhone)とインカムとのBluetooth接続を維持したまま、TWAYRDIO本体とインカムとのBluetooth接続を追加できるか

 

実験記録

 

ちなみにKG-UV3Dは2011年頃にサンディエゴのHROで買い求めたもので、その際、この実験では使いませんが、MFJ-269, MFJ-945E, MFJ-902Hと一緒に買った思い出の品です。

 

 

  

 

 

 

KG-UV3DのMIC/SPジャック仕様を調べたところ下図のとおりでした。

ネット検索して、TWAYRDIOのMIC/SPプラグの仕様を調べたところ下図のとおりでした。

 

 

 

上記二つの回路図を見る限りTWAYRDIO本体をKG-UV3DのMIC/SPジャックに挿入して問題は無さそうです。

 

先ずは届いた製品、PTTボタン付イヤホンマイクドングル、TWAYRDIO本体、PTTスイッチの三つを充電してから、TWAYRDIO本体をWOUXUN KG-UV3DのMIC/SPジャックに挿入して、PTTボタン付イヤホンマイクドングル及びTWAYRDIO本体の電源をONにしました。この二つは出荷時にペアリング済だと説明書(英語と中国語)に書いてありましたとおりすぐに使えました。PTTボタン付イヤホンマイクドングルにあるPTTボタンを押すと送信になることも確認できました。PTT専用スイッチで送信になることも確認できました。別のトランシーバーとの送受信もできたので購入した製品の動作確認は完了です。

 

 

 

 

ここで、PTTボタン付イヤホンマイクドングル及びTWAYRDIO本体の電源をOFFにしまして、インカムをBluetoothペアリングモード(M1-S Proの場合は機能ボタンを5秒間長押し)にします。次にTWAYRDIO本体の電源ボタンを7秒間長押ししてペアリングモードにしましたところ、少しして、インカムから device connected とのアナウンスがあり接続が成功しました。実は一度ではうまくいかず何度か試したところ接続成功しました。

 

iPhoneでYahooカーナビを操作するとインカムに音声が聞こえてきますしKG-UV3Dを操作すると音声が聞こえてきます。PTT専用スイッチも利きました。

 

実験結果

期待していたとおり使えました。

 

取扱説明書からの抜粋

英文取扱説明書から抜粋して以下のとおり訳しました。

 

TWAYRDIO本体は2個のBluetoothデバイスと同時接続できるようなことを書いてありますが、2個というのが、PTT専用スイッチ及びインカムのことを想定しているのかそれとも「PTT専用スイッチは実はBluetoothではなくて別のもっと単純な通信方式が採用されていて、インカムの他に何かもう一つのBluetoothデバイスと接続可能」なのか取扱説明書の記述が曖昧でわかりませんでした。

 

トランシーバー(KG-UV3D)に信号が入感して受信音声を復調したら、TWAYRDIO本体はインカムを呼んで接続を確立し、ヘルメット内のスピーカーから受信音声を鳴らします。入感が無くなったらTWAYRDIO本体はインカムを呼んで接続を解放するので8秒後自動的にスマホ(マルチメディアモード)に切り替わります。

 

PTTボタン付イヤホンマイクドングルの使い方

 

PTTボタン付イヤホンマイクドングルの電源が入っていない状態のときに電源ボタンを2秒長押しで電源が入ります。PTTボタン付イヤホンマイクドングルの電源が入っている状態のときに電源ボタンを2秒長押しで電源が切れます。PTTボタン付イヤホンマイクドングルの電源が入っていない状態のときに電源ボタンを6秒長押しでペアリングモードに入ります。

 

PTTボタン付イヤホンマイクドングルをスマホに接続して音楽ファイルを再生しているときに電源ボタンを短押しで音楽再生の一時停止及び一時停止解除ができます。

 

PTTボタン付イヤホンマイクドングルをスマホに接続して待ち受けしているときに電話の着信があったら電源ボタンを短押しで通話可能になります。PTTボタン付イヤホンマイクドングルをスマホに接続して電話機能で通話中に電源ボタンを短押しで電話が切れます。

 

PTTボタン付イヤホンマイクドングルのボリュームアップボタンを短押しで音量アップ、2秒の長押しでひとつ前の曲へ戻ります。PTTボタン付イヤホンマイクドングルのボリュームダウンボタンを短押しで音量ダウン、2秒の長押しでひとつ先の曲へ進みます。

 

電源ボタンとボリュームアップボタンの同時押しでノイズリダクション。

 

電源ボタンとボリュームダウンボタンの同時押しで言語切り替え。

 

ボリュームアップボタンとボリュームダウンボタンの同時押しでペアリング情報を消去します。

 

TWAYRDIO本体の使い方

 

オン/オフ マルチファンクションボタン2秒長押しでインジケータライトが青く1回点滅して電源が入る。マルチファンクションボタン3秒長押しでインジケータライトが赤く1回点滅して電源が切れる。

 

ペアリング TWAYRDIO本体に電源が入っていない状態のときにマルチファンクションボタン7秒長押しでインジケータライトが青と赤が交互に点滅してペアリングモードになる。

 

PTT専用スイッチとTWAYRDIO本体とのペアリング PTT専用スイッチとTWAYRDIO本体とを一緒の所に置きます。PTT専用スイッチのボタンを1秒押します。TWAYRDIO本体のインジケータライト赤が消灯し、PTT専用スイッチとTWAYRDIO本体とのペアリングが完了です。

 

PTTボタン付イヤホンマイクドングルとTWAYRDIO本体とのペアリング PTTボタン付イヤホンマイクドングル及びTWAYRDIO本体の両方とも青と赤が交互に点滅している状態で一緒の所に置きます。初めてのペアリングのときにはおよそ40秒ほどお待ちください。青と赤とが交互に点滅している状態ではなくなり、青だけの点滅になったとき、TWAYRDIO本体とPTTボタン付イヤホンマイクドングルとのペアリング完了です。

 

インジケータライトの意味

青ゆっくり点滅:スタンバイモードで電源オン。

青はやく点滅:ペアリングしたインカムやPTTボタン付イヤホンマイクドングルなどのBluetoothデバイスが見つからないので、それらの電源がオンになっているか、距離が離れすぎていないか点検してください。

赤点灯:デバイスが送信中。送信が終了すると赤消灯。

バッテリー低下:スタンバイモードのときの赤点滅はバッテリーが低下していることを示すので充電してください。

 

充電についての説明

この製品は micro USB 充電ポートを使います。標準的なDC 5Vの電源で充電を行います。充電中は赤点灯です。満充電状態になると赤消灯。

 

GSX250Rのスマートフォンマウンティングバーへ設置

 

小生のGSX250Rに取り付けてあるWorld Walk GSX250R専用スマートフォンマウンティングバーに取り付けてみました。

 

以前iPhone5を雲母台に取り付けるために入手したプラスチック製アダプタを流用して、ミノウラ製の自転車用アクセサリホルダ(SGS-300S)に強力な両面テープで接着し動かないようにビニル被覆銅単線を利用して固定しました。固定するにあたっては、下に示した写真のとおり、ビニル被覆銅単線がトランシーバーの前面と底面を保持する腕になるように線をとりまわしました。ビニル被覆銅単線の端は被覆をむいて半田付けし、途中は結束バンドで固定し、上からシリコンシーラントを被せ、その上を自己融着テープで巻いて、その上からビニルテープで巻きました。これをWorld Walk GSX250R専用スマートフォンマウンティングバーに取り付けます。

 

 

 

 

下の写真はGSX250Rに設置したところです。付属のマジックテープでとりあえず左グリップに「PTT専用スイッチ」を設置しました。実際に運用してみて右グリップにするのかそれともどこか別のところの方がいいのか探っていきたいと思います。

 

 

 

GSX250Rで運用して気付いたこと

 

バイクインカムM1-S Proにカーナビ(iPhone SE1, Yahooカーナビアプリ)とTWAYRDIOとをBluetooth接続して、カーナビ音声とアマチュア無線を聞きながら走行しておりました。アマチュア無線が入るとカーナビ音声がミュートになり、アマチュア無線が無くなると8秒後に自動的に再びカーナビ音声になります。何の問題もありません快適です。
ここで、今回は、ハンドル左側に設置してある「PTTスイッチ」を押すとアマチュア無線が送信になります。「PTTスイッチ」を離すとアマチュア無線が受信になり8秒後になぜか音楽が鳴り出しました。この手順で必ず音楽が鳴り出すというわけでも無さそうです。でも音楽が鳴っている状態で「PTTスイッチ」を押してアマチュア無線を送信して離して受信にすると必ず8秒後に再び音楽の世界へ戻ります。
なぜか意図せず鳴り出した音楽を停止させるには、M1-S Proの「+」ボタンをダブルクリックすれば音楽が停止します。M1-S Proの「+」ボタンダブルクリック操作で音楽を停めた後は、「PTTスイッチ」の操作で再び音楽が鳴りだすということはほとんどありませんでした。ほとんどありませんでしたというのは時々あるという意味です。
iPhone SE1の代わりにAndroidスマホだったらそれでも同じ状況に陥るのかどうかについては未確認です。
いろいろあるなぁー。VOXとどっちが実用的かしらん?

 

VX-3でTWAYRDIO及びPTTスイッチを使う方法

もちろんFT-70Dでも使えます

 

TWAYRDIO及びPTTスイッチをYAESU製のVX-3(小生が所有しているのはサンディエゴにいたとき入手したVX-3RですがMIC/SP端子の仕様は同じです)及びFT-70Dで使うには、変換ケーブルを自作する必要があります、市販品がありませんから。

 

 

 

 

 

VX-3のMIC/SPジャックはアンテナとダイヤルとの間にあります。MIC/SPジャックの仕様は4極です。アンテナとダイヤルとの間が狭いので、モールド部分が細めの4極プラグを部品として選ぶ必要があります。小生はアマゾンで下記名称の部品を見つけました。

φ3.5mm ミニプラグ 修理交換用 3個セット (4極) [並行輸入品]

モールド部分がプラスチック製だと細くできないということは容易に想像できます。小生がアマゾンで見つけた部品はモールド部分が金属製で薄いので細くなるんだと思います。なんとモールド部分の太さが6.5mmなので、VX-3のアンテナとダイヤルとの間の狭いスペースでも余裕があります。但し組み立てる際には注意も必要です。金属製モールドなので、ヒゲ半田やイモ半田があると金属製モールドによって短絡を生じてしまいます。小生は注意深く半田付けしたうえで自己融着テープを巻いて絶縁を徹底しました。ジャック及びケーブルは秋月電子の通信販売を利用しました。

 

φ2.5mmジャック

【C-15498】2.5mmステレオミニジャック 中継用 MJ-072
  価格:¥75

φ3.5mmジャック

【C-10188】3.5mmステレオミニジャック 中継用 MJ-073N
  価格:¥60

ケーブル

【P-13012】耐熱・細径シールド線3m(KPPV-SW 7/0.18x2C)2芯シールド

  価格:¥680

 

 

第1回目試走結果:目自動二輪車にトランシーバーを搭載して、この変換ケーブルを試用しましたところ、机上で確認したとおりモービル運用でも動作を確認できました。

 

第2回目試走結果:1回目の試走で音がおかしいと感じましたが移動中のフェージングに影響を受けているのかと思いましたが違いました。回路は合っているのにおかしいのです。音が極端に小さいとか、変換ケーブルを手で握ると音量の状況が変わるとか、ジャックをねじると音が大きくなることがあるという変な現状に遭遇しました。しばらく理由が解らなくて困りました。

 

第3回目試走結果:MIC/SP/PTT全て無線化するのがこのブログの趣旨ですが、以前小生のブログで書いた「自動二輪車でアマチュア無線」の有線にいったん戻して、トランシーバーには問題ないことを確認しました。下の写真では八重洲無線のFT-70Dです。

 

 

自動二輪車でアマチュア無線では、PTT用に電線で延長した先にトグルスイッチを増設しましたが、電線がぶらぶらするので思っていたより使いにくかったから、トグルスイッチをホルダーに固定しました。そしてヘルメットをかぶったままバイクから離れることができるようにスイッチ用の電線を3.5mmΦの2極プラグとジャックで切り離せるように工作しました。トグルスイッチは2液式エポキシ系接着剤でホルダーに固定しました。

 

 

 

第4回目試走結果:変換ケーブルのケーブル部分やジャック部分をにぎったりねじったりすることで音の大きさが変わってしまう現象の原因を高周波の回り込みではなかろうかと仮定してみました。受信中のことですからFT-70Dから出るベースバンドではなくてBluetoothの2.4G Hzの電波だろうと思われます。だから、変換ケーブルをフェライトコアに通すという対策を試してみることにしました。1ターンではインピーダンスが足りない気がしたので2ターンにしておきました。線の太さの関係で3ターンは無理でした。ちなみにインピーダンはターン数の2乗倍で大きくなりますが、周波数が高くなると線間容量に影響されてしまうため、ある程度の周波数を越えるとインピーダンスが減少に転じます。1ターンのときと2ターンのときとで効果はあまり変わらないような感じでした。また、フェライトコアの使用数を増やすと、使用数に比例してインピーダンスが増加しますので、もし足らないようであれば後で1個追加しようと思います。

 

 

机上でも実走試験でも効果が得られました。

 

 

TWAYRDIOのPTT専用スイッチ(Bluetoothによる無線式)は、押している間だけ送信で離すと受信になります。自動二輪車でアマチュア無線で登場したPTT用トグルスイッチは、上に倒すと送信状態が保持され、下に倒すと受信です。せっかくホルダーにトグルスイッチを増設したので、TWAYRDIOのPTT専用スイッチ(Bluetoothによる無線式)と両立させるように工作しました。

 

下の回路図のとおりトグルスイッチを増設しました。

 

下の写真が現物です。

 


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